導入
ヨホイ!海賊ヒーローのソルだ!お前誰?って思う奴がいるから、小説形式で改めて紹介するぞ!
自称ヒーローの世界観をぜひ楽しんでくれ!
あんた誰?って思った人はこちら!

SNS(X)はこちら
キャプテン・ソルとは何者か

――これは幽霊海賊ヒーローの記録
人は、ある日突然壊れるわけじゃない。
少しずつ溜まった感情が、限界を超えたとき――壊れるんだ。
この物語は、
そんな時に現れ、私欲で助ける自由気ままな自称ヒーローの記録。
立派な正義感もなく、目的の為に暴れる無法者
それでも、なんだかんだで人を救う存在。
その名は――キャプテン・ソル。
昼のカフェ《赤い糸》の日常

俺が“その客”に気づいたのは、
俺のアジト――直すカフェ《赤い糸》が、昼のピークを迎えていた頃だ。
平日の昼間。
それなのに、店内は極めて珍しく、若い客でぎっしりだった。
いつもは閑古鳥なのにな。
スマホ。
スマホ。
スマホ。
誰も彼も、画面に顔を向けている。
ここはカフェのはずだが、食事そっちのけで撮影に熱心な客たち。
【おいS。この店、なんでこんな混んでんだ】
「今週末、マスターが海外に行くらしいんです。その間お店を閉めるので、お詫びセールですね」
【お詫びセールって……発想が雑すぎるだろ】
今、俺と会話しているこの男。
平社員S。
どこにでもいそうな三十代の会社員で、三児の父。
そして――俺の相棒だ。
俺の声が聞こえているのは、今のところこいつだけ。
そう。
俺は幽霊だったりする。
幽霊海賊ソルの正体

あん?べつに怪しい奴じゃねーよ。本当の事だしな。
俺は三百年前は海賊だった。
喧嘩と略奪で飯を食い、派手に暴れまわって、最後は裏切られて死んだ。
目を覚ましたら、魂は親の形見のアクセサリーに押し込められていた。
どうやら三百年、眠り続けていたらしい。
それを起こしたのが、平社員S。
奇妙な縁も、ここまでくると笑える。
……それにしても。
このカフェの賑わい。
どうにも、落ち着かない。
“映え”を求める迷惑客

慣れない店内にイライラしていると、店のど真ん中で――
派手なポーズを決め、スマホを構える女。
「はーい!撮るよ撮るよ!
今日こそバズるんだから!」
今にもテーブルに乗りそうな勢いで、店内を撮りまくっている。
この店、マスターが海外で拾ってきた雑貨を気まぐれに並べるせいで、
近所じゃ“ちょっとした映えるカフェ”扱いだ。
なるほど。
飯じゃない。目的は最初から、これ。
周囲の客は露骨に迷惑そうで、
カウンターの向こうではマスターが眉をひそめている。
……気に食わねぇ。
【S、あいつ。なんで飯も頼まず写真ばっかなんだ】
「SNS用ですよ。投稿するやつです」
【あー……SNSなぁ。最近、俺サボってるな】
「そこは反省してください。今のペースだと、転生まで遠いですよ」
相棒は深いため息をする。
……分かってる。
分かってるが、現代は誘惑が多すぎる。
俺が悪いんじゃない。
美味い飯とゲームが悪いだよ。仕方ねーじゃん。
「いいね欲しさは分かるけど、周りに迷惑かけたら意味ないですよね」
【お、いいこと言うじゃねぇか】
「では、僕を振り回すのも控えてください」
無視、無視。
感情の限界

その瞬間だった。
「うそ……また“いいね”増えてない……!
もっと、私を見てよ……!」
女はスマホを握りしめ、俯いた。
指先が、震えている。
次の瞬間。
足元から、黒い霧。
ゆっくり。
確実に。
女を包み込んでいく。
……やっぱりな。
デスペランサ出現

【もうグリザド化してたか。S、行くぞ】
「はいはい。仕事ですね」
霧が晴れた場所に立っていたのは、
人の形をした、黒い怪物。
悲鳴。
混乱。
客たちは我先にと外へ逃げ出していく。
人なら誰もが抱えるストレス。
そのストレスからくる負の感情エネルギー《ルトアルマ》。
それが限界まで溜まるとルトアルマは結晶化(グリザド)して、人は怪物《デスペランサ》になる。
理性もなく、ただ暴れるだけの存在。
――そして。
俺の獲物だ。
【へへ……来やがったな】
「嬉しそうにしないでください。止めますよ」
【稼ぎ時だろ。楽しんで何が悪い】
呆れた空気の中、
Sは俺の本体――魂が宿るアクセサリーに手を伸ばした。
「どうぞ。存分に暴れてください。……行きますよ、ソル」
炎。
アクセサリーから噴き上がった霊炎が、Sの身体を包む。
高熱。
光。
そして――俺の魂が、Sの身体に憑依する。
憑依変身・キャプテン・ソル

『憑依変身』
そのセリフがトリガーになり、赤い炎の鎧を纏い、異形のヒーローが姿を現す。
キャプテン・ソル。ブラソフォーム。
これが俺とSの戦闘スタイルだ。
そしてヒーローのお決まりの「アレ」をする。
「ヨホイ!恐れろヴィラン!称えろ、野郎ども!
俺の名は紅き海賊――キャプテン・ソル!よく覚えとけ!」
決まった。ヒーローはやはり名乗りが大事だからな。
相手もさぞ感動……せずに、スルーして襲ってきた。
「いいねェェエーー!!」
「ヒーローの名乗りは聞いとけ!アホンダラ!」
霊炎の裁き

力を得ても、中身は素人。素早く懐に入り、拳を構える。
――ソル・コスタール。
炎を纏った拳が、怪人の胸を打ち抜く。
軽い一撃。
だが、十分。
胸元から黒い結晶――グリザドを抜き取る。
「終いだ」
――ソル・ドラ。
炎の浄化の光。
黒く染まったグリザドが砕け、紅い粒子になる。
その光は怪人と俺の身体に吸い込まれていった。
これが俺のもう一つの力――「変換」。
ルトアルマを浄化して《サノアルマ》に変える。
持ち主に返して、俺は報酬を少しもらう。
俺の目的はこのサノアルマを集めて転生して第二の人生を楽しむことだ。
いつまでも幽霊のままじゃ不便で仕方ねぇからな。
転生する仕組み? 知らねぇ。
直感でそう感じただけだ。文句あっか。
デスペランサが倒れ、狂気の色が消える。
よし息はあるな。
事件の終わりと現実(オチ)

戦いの後で
少して迷惑女が目が覚めて起き上がるが…
「え……?私、一体なにしてたの?
……え? なに、この姿!?」
「お、気づいたか。数時間は戻らねぇよ。まあ、バズるネタにはなるんじゃねぇか?」
「この後、インス〇ライブなのに~!!」と迷惑女は泣き叫ぶが、無視。
……これで少しは懲りるだろ。
――その瞬間。背中に寒気。
「……ちょっと、あなたたち」
背後から、静かな声。
なのに、圧が強い。
「カフェの備品、いくつ壊したと思ってるの?」
俺達と客(怪人の姿)はぎこちない動きで振り返る。
そこには、笑顔なのに目が笑っていないマスター。
「……」
「……」
「働いて返してね♡」
「「…ハイ。」」
頷くしか選択肢が無ぇなコレ…
――SNSより、よっぽど怖ぇ。



コメント